「青」にまつわる専攻言語エピソード—月替わりエッセイ第22弾

見出し画像:Thanks for your Like • donations welcomeによるPixabayからの画像

 

今年で4周目を迎えた6月の月替わりエッセイ。季節柄、過去の2回は梅雨に関連した「雨」や「水」がテーマでした。

今年の6月は一捻り加えたいところ。

そこで今回はこれまでとは少し志向を変えて、ワンダーライターの専攻言語の中から「青」にまつわる選りすぐりの慣用句やエピソードをご紹介します。

 

日本語の「青」について

 

 日本語では、ほうれん草や小松菜、チンゲン菜などの葉もの野菜を「青菜」と呼び、信号が緑に変わったときには「青信号」と呼ぶ。怒った人は「青筋」を立て、経験の乏しい人は尻が「青い」。

 このように「青」一つを例に取っても、日本語における色を表す単語の指示範囲は広いことがわかる。「空」も「海」も「植物」も「青い」という形容詞を使って表現され、果ては「若く未熟なさま(青二才)」や「血の気のないさま(顔が青ざめる)」、明るい(アカ)に対して「暗い」という意味でも「青(アオ)(『青い夜霧の港町』)」が用いられる。

 ではアウト・オブ・ブルーながら、ちょっとマニアックな話を一つ。金魚は生育段階によって呼び名が異なり、生まれたてで鱗も生えていない稚魚を毛仔(ケゴ)、そこから鱗が生えそろって碧っぽい色の稚魚を「青仔(アオコ)」と呼ぶ。その後真っ黒の黒仔(クロコ)と呼ばれる状態になり、金魚らしい赤〜朱色、浅葱色、黒、白、それらが混ざった三色や更紗模様などに変化するのだ。身近な、しかも金と名のつく魚がこんな七変化を遂げるなんて、知らなかった人も多いのではないだろうか。

 

2015年9月15日撮影。文京区本郷にある「金魚坂」は、江戸時代から続く金魚の卸問屋。入り口の真っ赤な金魚の看板が目印だ。大きないけすに浮かんだ枠の中では、出荷を待つ金魚たちが泳ぐ。こんな色鮮やかな金魚たちもかつてはみんな「青仔」だったなんて、なんだか感慨深い…

 

参考文献

川田洋之助. 『金魚の衣・食・住』. 改訂版. どうぶつ出版, 2008, pp. 41-42. 

「青」. 北原保雄. 『明鏡国語辞典』第二版. 大修館, 2010.

(文・小林かすみ、日本語専攻)

 

韓国の五方色「青」

韓国では宇宙すべての存在を5つの要素に分けて整理した五行説が信仰されている。

その5つが木、火、土、金、水である。

これらは韓国で名前を付ける際に、上の5つの漢字を各世代ごとに順番につけ、これが代々繰り返されている。

そして上の5つを色に当てはめたのを「五方色」と呼ばれている。具体的には

木、火、土、金、水

↓   ↓   ↓      ↓    ↓

青、赤、黄、白、黒

がある。黄色を除いた4つの色は韓国の国旗にも使用されている。

そこで今回は「青」について紹介する。

「青」は万物の誕生を表す色として認識されている。そして韓国では「青」はことわざや故事成語に登場することもあり、韓国人が最も好む色ともいわれている。

そのため、政党や企業のイメージカラーにも使われていることが多い。また、韓国の大統領府の屋根も青色である。

 

(naverから引用)

ほかにも、韓国の婚礼の儀式で青い糸と赤い糸を供え物に結んだり、赤と青の風呂敷のようなもので木製のおしどりを包むという風習がある。

これは夫婦のきずなが固く結ばれ、子孫の繁栄を願う祖先の思いが込められている。

(naverから引用)

日本では「青色」というと、「冷静/集中力増強」などの良い効果もある反面、「落ち込み/食欲減退」などの否定的な意味としても認識されているように思う。そのため、日本で青色をイメージカラーとして使っているところは多くない。

しかし、韓国では「五行説」を信仰し、「青色」をイメージカラーとして積極的に使用しているため、その認識の違いがとても面白いと感じた。

(文・高木好花、朝鮮語専攻)

 

バックナンバー

雨の日には、窓を大きく開ける。初めて南米に行ったときもそうだった− 月替りエッセイ、第一弾。(2017年)

突然、ざざあっと激しい音を竹の屋根が鳴らし始めた − 月替りエッセイ第二弾、「雨宿り」。(2017年)

ブエノスアイレスはあまい香りがする。 とりわけ、雨が降った日には。 – 月替りエッセイ、第三弾。(2017年)

雨に紛れて泣いてしまおう−2018年6月月替りエッセイ「雨」ー(2018年)

旅先で蛇口をひねってみたら、その土地の味がした—月替わりエッセイ第10弾(2020年)