
食べて、祈って、繋がって
「食べて、祈って、繋がって」
旅好きの皆さんなら、きっと耳にしたことがあるはず。
「食べて、祈って、恋をして」──私のお気に入りの映画からタイトルを少しお借りしました。
離婚を経験した主人公が、新たな人生を立て直すために世界を旅する物語です。
イタリアで食べて、インドで祈って、バリ島で恋をして・・・
最後の「恋」の代わりに、台湾で出会った素敵な人々との繋がりに焦点を当てて、
「食べて、祈って、繋がって」というテーマで台湾の旅に皆さんをお連れします。
食べて
台湾と言ったらどんな料理を思い浮かべますか?

小籠包、魯肉飯、牛肉麺・・・食べ尽くせないほど魅力的なグルメで溢れた台湾。
旅行中、胃袋が無限だったら…と何度思ったことでしょう。
そんな中でも特に印象に残ったグルメをご紹介します。
夜市グルメ【地瓜球】

サクッ、もちっ、そしてほんのりと甘酸っぱい。
蒸したさつまいも、砂糖、そしてタピオカの粉を小さな団子状にして揚げたドーナツのようなお菓子です。
中華鍋にたっぷりと入った油に浮かぶ生地が、穴の空いた鍋でぎゅうぎゅうに潰され、揚げられる過程で空気が入ってサクッとまん丸い形に出来上がります。

事前のリサーチで「梅子味」(梅味)が美味しいと聞いていたので、「甘いさつまいもに酸っぱい梅は合うのだろうか・・・」と半分疑いながら注文。
これが驚くほど合うんです。さつまいも味でほんのりとした甘さに梅味の酸っぱさが加わって、なんとも病みつきになる味で手が止まりません。
夜市に行かれた際は、食後のデザートとしても、食べ歩きの味変としても、ぜひ一度試してみてください。
不思議な食感【紫米芋頭】
もちもち、ぷにぷにとした食感でおはぎのような味わいのスイーツです。
ホテル近くの朝市の屋台で店員さんの「オイシイヨ〜」という声に引かれて思わず購入してしまいました。

杏仁豆腐味や黒糖味など様々な味の種類がありました。くるみゆべしに近いような、なんとも癖になる食感です。
「芋頭」って、面白い名前ですよね。
同じく漢字を使う日本から来た私にとって、台湾の街中は、なんとなく意味がわかりそうで実はわからない言葉であふれていて、知的好奇心がくすぐられます。
ちなみに「芋頭」はタロイモを意味する台湾華語だそうです。
私的台湾No.1グルメ【胡椒餅】
熱々でカリカリの生地を一口かじると、中から胡椒が効いたジューシーな肉汁が溢れ出してきます。
これを食べるためだけにでも台湾に戻りたい。
そんな台湾グルメNo.1の称号を(私に)与えられたグルメは龍山寺の近くにある福州元祖胡椒餅の「胡椒餅」です。

11:30のオープン前には整理券が配布されます。
オープンと同時に到着した際に整理券はもうありませんでしたが、5分ちょっと並んだだけで焼きたての胡椒餅をゲットすることができました。
Google Mapでは少しわかりにくい裏路地を進んだ先にあるので、訪れる際はご注意を。
思っていたのとちょっと違った?【豆花】
ぷるんとしたプリンのような食感の豆腐スイーツ、「豆花」。
ピーナッツと小豆をトッピングしてみました。

日本で何度か食べたことがあり、一番楽しみにしていたと言っても過言ではないのですが、実際に食べてみたら私が想像していたものとは少し違っていて残念。期待値を上げすぎてしまったからかもしれません。
日本で試した豆花はそれ自体が甘く味付けされていたのですが、台湾ではそれほど甘い味付けがされておらず、思っていた以上に、豆腐本来の味がしっかりと感じられました。
あとから台湾の友人に聞いたところ、豆花自体には甘味が付けられていないため、甘いトッピングをたっぷり乗せて楽しむそう。
皆さんもぜひ、たっぷりのトッピングと一緒に味わってみてください。
定番の朝ごはん【鹹豆漿】
みなさんは朝ごはんに何を食べますか?
私は断然パン派です。
ジャム、バター、チーズ・・・パンに載せる皆さんのお気に入りの具材を聞きたいところですが、そんなことはさておき。
台湾では朝から外食をする文化があるそうなので、台湾定番の朝食、「鹹豆漿」を食べてきました。
SNSでもよく見かける「阜杭豆漿」というお店は早朝から並んでも長蛇の列ということで、今回は見送り・・・。
ホテルの近くにあった「世界豆漿大王」へ行ってきました。
夫婦2人で経営しており、Google Mapの口コミにも多くあるように、お母さんがカワイイ日本語で接客をしてくれます。
私は定番の「鹹豆漿」と「豆漿」を注文しました。

「鹹豆漿」(写真手前)は豆乳をベースにおぼろ豆腐、油条(揚げパン)、干しエビ、小ネギなど様々な具材が入っています。
見た目からは味の想像がつきませんでしたが、しょっぱいおかず系スープという感じで美味しかったです。
「豆漿」は少し甘く味付けされた豆乳でした。あまり豆乳は得意ではなく、これまで自ら選んで飲むことはなかったのですが、こちらはすっきりと美味しくいただけました。
この他にも紹介しきれないほど美味しいグルメをたくさん食べてきました。
またいつか機会がありましたらご紹介します!
ミニコラム〜九份の楽しみ方〜
千と千尋の神隠しの舞台とも言われる観光スポット九份。(宮崎駿監督は否定しているようです)
とはいえ、実際に訪れてみると、まるで千と千尋の世界に迷い込んでしまったかのような雰囲気でした。
大人気観光地なだけあって、日の入りから終バスにかけての時間は大混雑。
ゆっくりと歩いたり、人の映らない景色を撮ることも難しい・・・とのことだったので、私たちは思い切って九份で一泊することにしました。
終バスが出たあとは一気に人が減り、ゆっくりと散策できる絶好のチャンスになります。
人のいない写真を撮りたい、喧騒から離れてゆっくりと雰囲気を楽しみたい。
そんな方はぜひ、夕方に九份到着、ゆっくりと夜景を楽しんで一泊。翌朝出発というスケジュールをお勧めします。
祈って
グルメの話でお腹も空いてきたはず。
皆さんの間食が始まる前に次のテーマに移りましょう。
「祈り」です。
日本人の中にはお正月や試験前の願掛けの時だけお参りに行く人も多くいるのではないでしょうか。
いくつかのお寺を訪れ、台湾人の信仰心の強さと、それが自然に溶け込む日常が垣間見られたような気がしました。
お祈り方法
お寺ごとにちょっとした違いはあるようですが、ベーシックなポイントをご紹介します。
まずお寺は右側から、入口の敷居を踏まないように左足で踏み入れます。
その後お線香に火をつけて、本殿、その後は時計回りにお参りをしていくことになります。
お祈りの際は三度礼をして、名前・住所・生年月日、そして相談ごとを心の中で唱えます。
「日本語でも伝わるのかな……」なんて思いながら、手を合わせていました。
おみくじの引き方
台湾はおみくじもなかなかにユニークです。
日本のようにお金を払ったら引けるといったシステムではありません。
お祈りで神様へ相談や質問が終わったら、まずは三日月状の赤い木片「筊」(こう)を二つ投げておみくじを引いていいか神様にお伺いします。

平らな面と膨らんだ面があり、それが一つずつ出たら許可が降りたということです。
両面とも平ら、または膨らんでいた場合はもう一度、お祈りからやり直しです。

裏表が出たら次は数字の書かれた木の棒を引きます。
そしてまた筊を投げて神様にこの数字で問題ないかを質問します。
おみくじを一枚引くのにも、かなりの時間と手順が必要で確認が必要な分、出てきた回答もきっと、より信頼できるものなのではないでしょうか。
繋がって
「你好」(こんにちは)と「謝謝」(ありがとう)くらいしか話せない私にとって不安も少しありましたが、
この滞在中に台湾の人たちの温かさに何度も触れ、素敵な「繋がり」をいくつも感じました。
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空港で出会った台湾人の女の子。日本の大学院進学を目指して、日本語学校で勉強しているそう。
おすすめのスポットや食べ物に関してたくさん教えてくれました。

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飛行機で隣の席になった、旅行で日本を訪れていた台湾の方。
日本の好きなミュージシャンや日本での旅の思い出の写真、そして行かずには帰れない台湾のお店まで、たくさんのことを教えてくれました。

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電車に乗っていたら、ある台湾人のおばさまが何やら話しかけてきて…。
「我是日本人(私は日本人です)」と伝え、Google翻訳で言葉を探しながら話しかけようとすると、
こんな素敵な言葉をかけてくれました。

翻訳機なしで想いが伝えられたら、どんなに素敵だっただろう・・・と思うと、とても悔しかったです。
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スターバックスでは、たどたどしくコーヒーを注文していると、店員さん二人が何やら話し込んでいて…
そのうちの一人が日本語を話せたようで、コーヒーにこんなに可愛いメッセージを書いてくれました。

台湾では、こんな心温まる素敵な出会いと繋がりをたくさん感じることができました。
終わりに
帰国後に、台南を舞台にした映画『青春18×2 君へと続く道』を観ました。
切ないラブストーリーで、台南のどこか懐かしい風景やそこに暮らす人々の姿がとても印象的でした。
今回の旅では台北にしか滞在できませんでしたが、
「台北だけじゃない台湾の魅力をもっと堪能したい!」と感じ、
次に台湾へ行ける日が、今からとても楽しみです。
この記事が、誰かの台湾旅行のきっかけになってくれたら嬉しいです。
(文・堀越)