モロッコ縦断旅【最終回】〜迷宮都市フェズ〜

前回は山に囲まれた青い街シャウエンに滞在しました。まだ読んでいない方はこちらからぜひご覧ください!

トイレはただの空間?!

お腹を壊した私は丸1日断食をしてフェズへの4時間越えのバスに臨みました。途中のトイレ休憩では50円ほどで個室に穴しかないトイレを借りることができます。
ペーパーはもちろんのこと、流す機能もありません。外にある水道にバケツが置いてあるので、それを使って自分で流す式のようです。写真を撮っておけばよかった・・・!

フェズへ到着

そんな衝撃的なトイレ休憩や絶景のバス移動が終わりいよいよフェズに到着です。
腹痛に襲われることもなく、無事にバスを降車すると日本人らしき男性が!

旅の道中日本語を話す機会が全くなく、久しぶりの日本人との出会いに嬉しくなり、気がついたときには話しかけていました。その流れでランチに行くことに。

道沿いにあったファストフード店でPanini Samuraiを注文しました。少しスパイシーなチキンにタルタルソースをかけたような甘辛い味付けで、どこがどうサムライなのかは分かりませんが、非常に美味しかったです。

私が予約したホステルはフェズのバスステーションから1時間ほど離れた場所にありました。
旧市街に向かうバスや電車も無かったため、散策がてら歩くことに。

フェズの新市街はこれまでに行った他の街に比べて観光客が少なく、街の人々の視線からも自分が外国人であることを感じさせられます。

ひたすら歩き続け、細い道を抜け、へっとへとになりながらもホステルに到着。

6人部屋を独り占め

6人部屋のドミトリーを予約していましたがなんと宿泊者は私だけ。とっても安い値段でシングルルームとして宿泊することになりました。ラッキー!

一通りホステルの案内を受け、部屋に戻ろうとすると、ポーランド人とドイツ人カップルに出会いました。目的地が同じだったので一緒に街に繰り出すことに。

モロッコ最古の街フェズのスークを歩いていきます。

フェズ街歩き豆知識

フェズ、またの名を「世界一の迷宮都市」。細い路地が複雑に入り組んだ街はまるで迷路のよう。9000以上もの道が存在するこの街をふらふらと歩いていると迷子になってしまいそうな街並みです。

曲がり角、道中では「この先は行き止まりだよ!」「こっちが正しい道だよ!」と言ってくる人もいますが8割の確率で信じてはいけません。(笑) 
Googleマップも細く入り組んだ道ではうまくGPSが機能しないことも・・・。
そんな時は壁の標識を探しましょう。

長方形の標識は出口のある道。
六角形の標識は行き止まり。
正方形の標識は元々は行き止まりだったが通行のために開かれた道。

一緒に歩いていた2人が教えてくれました。

メリニデスの墓と空

今日の目的地はメリニデスの墓。シェフシャウエンで出会ったスペイン人がお勧めしてくれた場所です。その丘の上から綺麗な夕陽が見えるという話を聞いて旧市街を抜けて丘を登り、お墓を抜け、メリニデスの横のホテルで日の入りを待ちます。

残念ながら今日は曇っていて綺麗な夕日は見えませんでした。しかし、モロッコ音楽の生演奏を聴きながら旧市街を見渡すことができるので、とってもおすすめです。

夕日も見れそうにないのでお茶を済まして、メリニデスの墓へ。綺麗な空や夜景を見ることができました。

そうこうしているうちに日もすっかり暮れたのでホステルに戻ります。

マラケシュは陽が落ちても人通りが多かったのに対して、フェズは一本道を入っただけで本当に人気がありません。
陽が落ちてからの独り歩きはお勧めできません・・・

新市街のバーへ

ホステルでモロッコのスープ、ハリラをご馳走になりながら、スタッフとおしゃべりをしていると、ドライバーとしてこのホステルにたまに出入りをしていると言う日本語の話せるスタッフが出勤。

日本の中古のオートバイをモロッコに仕入れるビジネスもやっているようで、何度か日本に行ったこともあるそう。流暢な日本語で彼の経歴を話してくれました。

そしてせっかくだからと新市街のバーに連れて行ってくれることに。
フェズは2日しか滞在時間がなく、新市街まで観光は厳しいかな、と思っていたのでお言葉に甘えて連れて行ってもらうことにしました。

真ん中にはステージがあり、大音量の音楽に歌手の生歌。隣に座っている人と話すことすら難しかったです。

モロッコ最終日タンネリ

さて、モロッコ最終日。今日の目的地はタンネリです。

タンネリとは革なめし工房のこと。モロッコのお土産として人気な革製品の多くがここで作られています。
タンネリが見れる場所を探しながらしばらく彷徨っていると、ある男の子に声をかけられました。自分の親がタンネリの見える革製品屋で働いているのでぜひ見に来ないかと。

「知らない人にはついていかない。」
小さい頃から親に言われてきた言葉が頭の中を反芻しつつも、これはチャンスだと思い、ついて行くことに。

男の子に連れられ歩くこと10分程度。細い道を進んだ先にある革製品のお店に到着しました。そこからは男の子のお父さんにバトンタッチされてお店の屋上に連れて行ってくれました。

まず外に出る前に山盛りのミントを渡されます。革を洗う際に使う鳩のフンの強烈な匂いを掻き消すために、ミントが必須だそう。

調べていた時ほど色は鮮やかではなく、匂いもきつくはありませんでしたが、隠された秘密の場所に行けたようでワクワクしました。この時間はお昼休憩中の時間だったのか働いている人はいませんでした。

モロッコの魅力とは?

ホステルに戻り荷物をまとめ空港に向かいます。こんなところでモロッコ縦断旅は終わりです。

人と出会っては別れ、荷物を解いては詰めての繰り返し。
後半は「自分のベットでゆっくりと寝たい!」と心が折れそうになったこともありましたが、街によって様々な色を楽しめたので非常に満足度の高い旅行でした。

フェズを出た後数カ国を旅行しましたが、そこで気づいたモロッコ魅力は「人々の暮らしをより近くで感じることができる」という点です。観光地化されている部分ももちろんたくさんありますが、そこに溶け込む地元の人々の暮らしを音、匂い、そして視覚で楽しむことができます。
せっかくなら地元の人と同じ言語で気さくにおしゃべりできるようになってまたいつか戻ってきたいと思える街々でした。

終わりに

モロッコとの出会いは数年前。あるお気に入りの写真集を見ていたところ、たまたま見かけた真っ青に塗られた街に魅了されたがきっかけです。

そんなこともすっかり忘れて数年が経ち、ドイツ留学が決まりました。周辺の様々な国を巡り、ヨーロッパの景観にも目が慣れてきた頃、スペインへ旅行に行くことに。そして地図上でスペインのすぐ下にあるモロッコに目が行き、気がついたら航空券を取っていました。

初めて渡航した際にはラマダンが被ることからテロに注意するよう情報がネットには溢れており、友人からも心配の声が。不安と期待の半々で渡航することになりました。
しかし実際に行ってみるとそんな心配は全くいらないようなとても温かい(暑い)素敵な国でした。
(記事上では気の赴くままに行動しているように見えるかもしれませんが、基本的にはタクシーにすら乗れないビビリで、常に気を張っています。旅行中は細心の注意をお忘れなく、)

YouTube、Instagram、 Google map・・・インターネットが普及した現在は簡単に情報を手に入れることができます。しかしメディアを通して見える世界は自分が見たい世界、人が魅せたい世界。カメラに収まる180度しか見ることができません。実際に自分が行けば見えるはずの360度 + 五感を使って感じる世界とは異なります。
簡単にオンラインで世界を見ることができるこの時代だからこそ、実際に自分の目で見る必要がある、そう感じさせてくれる旅でした。


実は私は派遣留学でドイツにいたのですが、モロッコ縦断旅を書き始めて気がついたらドイツ留学の記事も書かぬまま日本に帰国してしまいました。(笑)
ドイツ留学中の生活や、その他の旅行した国々での様子を今後も少しずつ投稿していけたらなと思っています。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

(文・堀越)

About Nana Horikoshi 10 Articles
一日中家でのんびり過ごすことが大好きなインドア派でありつつ、旅行も大好きです。暖かくて天気の良い国が好き。