中東散歩詩~イランと日本を言葉で紡ぐ

 
می نوش که عمر جاودانی اینست 
 
                خود حاصلت از دور جوانی اینست
 
هنگام گل و باده و یاران سرمست
             
خوش باش دمی که زندگانی اینست
 
 
酒を飲め、これこそが永遠の生命
 
青春の果実なのだ。
  
バラと、酒と、友の酔う季節に、
 
幸福のこの一瞬を味わえ、これこそが人生。
 
 
 
 
オマル・ハイヤーム 『ルバーイヤート』岡田恵美子訳 より
 
 
 
11・12世紀のペルシアに生きた詩人、オマル・ハイヤームの四行詩。わたしのお気に入りの詩の一つだ。
酒を飲んで酔いしれろ、というような無鉄砲な感じもする。けれど、自分のできることをやり尽くした上で、あとは任せて酒でも飲もう、という意味合いもあるらしい。とにかく、どうせ生きているのなら、その一瞬一瞬を遠慮せずに豪勢に、そして丁寧に楽しんでもいいじゃないか、というような、繊細だけど奔放なライフスタイルをうかがえる。
 
 詩はイランの人々の心に
 
オマル・ハイヤームはもちろん、現在のイランにあたるペルシアは多くの詩人を生み出してきた。その文化的所業は歴史の中にとどまらず、現在のイランに生きる人々の心にも大きな部分を占めている。 
今の気分を表した詩を思い出したり、詩集で占いをしたり、誰かにアドバイスとして詩を送ったり…
イランの日常は、詩で溢れているのだ。  
 
ペルシア語で読まれた詩は、声に出せば歌のように心地よく、カリグラフィに表せば瞬く間に芸術となる。
そんな詩が浸透したイランの人々の生活は、暮らしそのものが詩的にも思える。 
 
そんな生活に密着した詩が伺える場面の一つが、ハーフェズ占い。ハーフェズは14世紀のイラン南西部の都市シーラーズに生きたペルシア文学の大詩人の一人。それの、占いとは?
ハーフェズの詩は難解だけれど、暗示的。その意味を読み解くことで、悩み事やわだかまりを持つ人々の道しるべとなるのが、この占い。冬至の夜のお祝い、シャベ・ヤルダーや、イラン暦のお正月にあたる春分の日、ノウルーズの際には、ハーフェズの詩集を手に取り占いをするそう。
ちなみに、シーラーズにあるハーフェズ廟は現在、落ち着いた庭や建物に囲まれ、地域の人々の憩いの場のようにもなっている。その入口には、ハーフェズの詩集が一枚ずつ印刷された紙をたくさん持って、占いをしてくれる鳥がいる。鮮やかなインコ(多分)が紙を選んでくれて、その詩を読み解いて人生を占うのだ。
夜のハーフェズ廟、シーラーズ

 

   ハーフェズ廟の天蓋

 

現代でも詩を心に持ち続ける人々。イランの文化に触れる機会があったら、ぜひ詩にも親しんでみてほしい。
サアディ―廟、『果樹園(ブースターン)』
 
イランと日本で、一緒に詩を詠んでみる 
 
さて、今回の企画では、イランと日本とでそれぞれ散歩をして、詩を詠み、シェアをした。
  
自分の詩を披露するのは、自分の心の内を不器用に醸しているようで、ちょっとくすぐったい。
けれど、渋谷の喧騒を歩いて書いた詩と、エスファハーンの憩いの場の橋を眺めた詩が交差するのは、なんだか面白い。
  
互いの詩の内容が理解しきれなくても、ペルシア語の朗読に酔いしれたり、日本の街の騒がしさを力説したり。
  
「そういえば、桜がたくさん道にあるみたいだけど、さくらんぼ食べ放題なの?」
なんて疑問も。
 
なるほど、イランでは沿道の木から果実を食べて良いという。オレンジが食べまくれる時期もあるらしい。
そう聞くと、日本もこんなにも桜の木があるのだから、さくらんぼをむさぼりたいような気になり羨ましくなってしまった。
 
そんな小さな発見や、不思議な繋がりに溢れた中東散歩詩。
イランと日本をふらっと、感じてみませんか。 
   
 
 
〇Bizjapan (中東散歩詩は、Spark Middle East、Sampoemによる、五月祭に際した共同プロジェクトです。)
Bizjapanでは2011年に設立されて以来、アントレプレナーシップのもと、日常の一コマから社会問題に至るまで多種多様なプロジェクトに学生が主体となって取り組んでいます。
Spark Middle Eastはパレスチナ問題、シリア内戦といったマクロな視点から語られることの多い中東地域を、現代美術やスタートアップ、都市計画など、ミクロかつ多角的な視点から捉え発信していくことを目標に活動しています。
 
〈協力〉
Bizjapan
 
〈参考〉
岡田恵美子編訳,オマル・ハイヤーム『ルバーイヤート』平凡社,2009
 
*最終閲覧日 2021年6月20日
About Kurumi Otake 12 Articles
ごちゃごちゃした街と人混みが好き。レバノンに語学留学中、国内史上最大規模の反政府デモ、カルロス・ゴーンの逃亡、国のデフォルトとCOVID-19パンデミックに見舞われたけど、そんなレバノンの荒れたすてきさを伝えたい。