「自分が本当は何をしたいのか。見極めなければ、言い訳をする自分に負けてしまう」

 

英語科3年(休学中) 関谷 昴さん

外大から徒歩5分。閑静な住宅街の一角に、シェアハウス「たまりば!」はある。あたたかな光が差すリビングには、毎晩のように人が集まってきて、気づけばいつも賑やかな大所帯。奥には各国で買いそろえた民芸品や各地の思い出の写真が並ぶ「旅の間」が客を迎え入れ、階段を上がった2階には書斎と手作りのホームシアターが。「高校のときって、放課後にみんなでなんとなく集まっておしゃべりできる”溜まり場”みたいなのがあったんだよね。マックとかさ。大学入って、それがないなーと思って」入学当初からずっと抱いていた小さな”物足りなさ”。その気持ちは、2年生のときに主催したイベント「卒論TED」での来場者の一言をきっかけにますます膨らんでいった。

たいへんな時間と労力をかけて書き上げた「卒論」を発表する場が、小さなゼミの中だけというのはあまりにもったいない。学年も、学校も問わず、ひろく研究の成果を発表できる場を設けたい。そんな気持ちで開いたイベント「卒論TED」には、教授や他大学の学生を含めのべ30人前後が訪れた。来場者アンケートの回答にあった「外大の図書館が24時間あいていたらいいのに…」という小さな呟き。図書館を常時開放するのは難しくても、図書館のような場所、みんなが24時間いつでも集まれるコミュニティをつくることは可能なのではないか。そうして「たまりば!」のアイディアは生まれた。

周囲の期待に応えようと努力してきた。「高校まではけっこう優等生だったんだよ」とはにかむ。大学に入り、一人暮らしをして初めて手に入れた「自由」。一年生の冬、実家のある神奈川から鹿児島までのヒッチハイク旅を敢行。たくさんの人と出会い、さまざまなハプニングを乗り越え、3日かかって目的地までたどり着いた。

自分の意志だけで動き回る、自分の行動に全責任を持つということを、もっと経験してみたい。「自分の目で世界を見てみたい。」そんな思いも強かった。休学申請をして世界一周の旅に出たのは、3年生の秋のこと。ただ世界を一周するだけではつまらないと始めたのが、「TUFS in the world project」だ。世界中に留学に行っている外大生と、世界中で活躍している外大の卒業生を訪ね歩いて取材をし、現地からwebで情報を発信する。”自分の未来を自分でイメージすること”ができなければ、人はなかなか行動に踏み切れない。多くの外大生・OBOGにインタビューをし、彼ら・彼女らの生き方を描き出すことが「イメージ」の手助けになるのではと考えた。企業に広告掲載の交渉をし、その費用で旅支度をした。

インドネシアでシンガーソングライターとして活躍する人、インドで政府公認ダンサーとして活躍する人、イタリアでバイオリンを作る人、ケニアでマーケティング会社を運営する人……外大生の進路は実にさまざまだ。37ヶ国を渡り歩き、130人以上に会った。Facebookページは2000いいね!を超え、Twitterのフォロワーは8000人を超えた。多くの人が注目する、一大プロジェクトになった。帰国した今、将来については”ルポライターになって、本を出版したい”と語る。「自分が見た世界を、コトバにして伝えられたら」。

限られた時間の中で、何をするか。迷うこともあったが、恩師の言葉がいつも決断を助けてくれた。「やりたいのか、やりたくないのか。唯一それだけが決め手になる」以来、ポリシーは”言い訳をしない”こと。自分が考えていることが、果たして”意思”なのか、それとも”言い訳”なのか。「”自分が何をしたいのか”を見極めなければ、言い訳をする自分に負けてしまうから」。

関谷さんって、どんな人?「うーん、人の好き嫌いを全然しないよね。なんでも受け入れてくれるっていうか」住人のひとりが答えてくれた。「なんでも受け入れる」。そんな空気が、シェアハウス「たまりば!」にも流れている。「だれでもいつでも来ていい場所」。だから今日も、にぎやかな笑い声が絶えない。

シェアハウス「たまりば!」について、詳しくはこちら:Twitter / Facebook
「TUFS in the world project」について、詳しくはこちら:ホームページ / Twitter / Facebook

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「人の顔が見える記事」を目指して。ことばと旅がすきなTUFPOST代表兼Wonderful Wander編集長です。