沖縄の離島ってどんな感じ?阿嘉島に行ってみた!

はじめに

昨年の2月中旬、私は友人と二人で沖縄県の阿嘉島を訪れた。阿嘉島は慶良間諸島(沖縄本島から西に約40kmの辺りに位置する)を構成する島の一つであり、沖縄本島からは高速船やフェリーなどでアクセスすることができる。透明度が高く、宝石のように美しい海は「ケラマブルー」の名で人々に親しまれており、ダイバーが多く来島する。しかし私たちの場合は、マリンレジャーをするつもりは毛頭なく、単にゆっくりとした時間を過ごすためだけに訪れた。都会の喧騒を離れ、人が少ない場所で美しい海を心ゆくまで堪能したいと考えていた私たちにとって、阿嘉島はまさに天国だった。

那覇市と阿嘉島の位置関係(Google Mapより)

那覇空港に到着!早速フェリー乗り場へ!のはずが…

羽田空港から那覇空港行きの便に搭乗し、3時間ほどのフライトを楽しんだ。飛行機から出るや否や沖縄の生暖かい風が私たちを包み込み、羽織っていた上着を脱がずにはいられなかった。数時間前までコートに手袋姿で東京にいたことが信じられないほどの暖かさだった。

カラフルな土産物屋や飲食店を横目に空港内を移動していると、友人の携帯電話に着信があった。阿嘉島で泊まる予定の宿泊施設からだった。電話を終えた友人のテンションが何だか低い。そのわけを聞くと、その日のフェリーと高速船が全て欠航してしまい、島に行けるのは早くても翌日以降になったということだった。そのような事態が発生する可能性があることは承知していたものの、いざそれが自分事になると少し焦った。当初の予定では、那覇空港に到着したらすぐにフェリー乗り場へ向かい、その日のうちに阿嘉島に上陸するつもりだったのだ。

暫くしてなんとか気を取り戻した私たちは、すぐに那覇市内のホテルを予約して空港を後にした。初日は国際通り周辺をメインに観光したが、その内容は本記事の本筋から逸れるため、ここでは省略する。

フェリーざまみで阿嘉島へ

翌日の朝、ホテルでフェリーと高速船の運航状況を確認した。すると、高速船は全便欠航になったがフェリーは動くことがわかった。私たちは急いで荷物をまとめ上げると、すぐに泊港へ向かった。泊港へは、ゆいレール美栄橋駅から徒歩10分ほどで行くことができる。

カウンターで阿嘉港行きのフェリーチケットを購入し、フェリーざまみに乗り込んだ。スーツケースやバックパックなどの大型荷物は、コンテナに預け入れることができた。

泊港(泊ふ頭旅客ターミナルビル「とまりん」を出てすぐの場所)

フェリーざまみの座席は三階から五階まである。こちらの写真は五階の甲板から泊港周辺を見渡した様子

最初のうちはフェリーの揺れに慣れず、いつ酔ってもおかしくないと思っていた。しかし、できる限り揺れに身を任せるようにしてみると、次第に心地良さを感じるようになっていった。いつの間にか眠りに落ちてしまい、気がついた時には阿嘉港手前まで到達していた。こうして約90分の海の旅を経て、私たちはついに阿嘉島に上陸した。

阿嘉港到着時の様子をフェリーから撮影した。

阿嘉島〜初日〜

阿嘉港近くの食堂でソーキそばを食べ、宿のチェックインを済ませると、私たちは島内散策を開始した。しばらく歩くと、小屋の上で昼寝している猫を発見。猫が大好きな私たちは、その様子をすかさずカメラに収めた。その後も、体感的に100メートルも進まないうちに新たな猫と出会った。猫を見る度に写真を撮っていたのだが、後からスマホのカメラロールを確認すると、その日だけで10匹もの猫たちと遭遇していたことがわかった。素晴らしき猫口密度。海を見に来たはずが、その日はほぼ全ての時間を猫の観察に費やした。

(左)曇天でもはっきりとわかる海の美しさ (右)阿嘉港直近の浜である「前浜」で発見した猫集団

阿嘉島〜二日目〜

天城展望台

二日目はまず天城(あまぐすく)展望台へ向かった。鮮やかな草花が生い茂る獣道を歩き続けること約10分。開けた視界の先には、どこまでも続く青く透き通った海と無人島が見えた。後から調べると、その島は「砂白(しなしる)島」であることがわかった。小休憩を挟み、私たちは次に嶽原(たきばる)展望台を目指して歩き始めた。しかし、どれだけ歩いてもその展望台が見つからない。おかしいとは思いつつも、引き返すよりは前進した方が良いと考え、私たちはそのまま歩を進めた。

手前に見えるのが砂白島で、その奥には積城(せきじょう)島をはじめとした小さな島々が連なっている。

嶽原(たきばる)展望台への道中に見た景色

クシバルビーチ

嶽原(たきばる)展望台をとっくに通り越し(その時は通り越したことにすら気づいていなかったが)、アップダウンのある道を進んでいくと、思いがけずビーチの入り口に到着してしまった。冒頭でも記した通り、訪れた時期が2月中旬とオフシーズンであったため、私たち以外に人の姿はなかった。期せずして貸切状態でビーチを満喫することができた(と言っても、ただ波の動きをゆっくりと眺めていただけである)。

次に来るときは泳ぎたい。

自転車で慶留間島と外地島へ

クシバルビーチから宿へ戻り昼食を済ませた後、宿の自転車を借りて阿嘉島の隣の二つの島に行くことにした。阿嘉島のすぐ隣にあるのが慶留間(げるま)島、そのさらに先にあるのが外地(ふかじ)島である。

阿嘉島、慶留間島、外地島の位置関係 (Google Mapより)

まず慶留間島を目指し、阿嘉大橋を渡った。曇天であったものの、橋の下に広がる海の美しさは確かだった。運が良ければこの橋からウミガメが泳ぐ姿を見ることができるらしい(残念ながら私たちは見つけることができなかった)。慶良間島の中で最も印象に残っているのは、海の傍にポツンと建つ赤い屋根の学校である。屋根の赤と海の青の絶妙なコントラストが目に焼き付いている。

阿嘉大橋からの眺め

慶留間島を通り抜け、今度は慶留間島空港大橋を渡って外地島へ向かった。この島には慶良間空港がある。こぢんまりとした空港で、ターミナルは1つしかない。現在定期便の運行はなく、那覇空港との間をチャーターヘリが飛んでいる。

(左)慶良間空港のエントランス (右)二つの島から阿嘉島まで戻る際に見た景色

猫(その2)

阿嘉島へ戻ると、またもや沢山の猫たちと遭遇した。展望台にビーチ、サイクリングと盛りだくさんな一日の締めくくりに大好きな猫たちを見ることができ、疲れも一気に吹き飛んだ。

(左)この一枚に一体何匹の猫が写っているだろうか? (右)欠伸ショット

阿嘉島〜最終日〜

楽しい時間はあっという間に過ぎ、私たちは島で過ごす最後の日を迎えた。午前中の高速船を予約していたため、最終日の滞在時間は半日にも満たなかった。島を出発するまでの間、私たちは名残惜しさを感じながら前浜(阿嘉港直近の浜)周辺を散歩した。皮肉にも、滞在期間全体を通して最終日の天気が最も良かった。猫たちに別れを告げ、ケラマブルーをしっかりと堪能し、私たちは阿嘉島を後にした。

低木の隙間から見えるケラマブルーと猫

復路は高速船「クイーンざまみ」に乗り、約50分で泊港に到着した。しかしこの高速船で、私たちは凄まじい船酔いを経験した。フェリーと同じように、「船の動きに身を任せればどうにかなるだろう」と楽観的に考えていたものの、高速船のスピードに体を慣らすことはできなかった。次に阿嘉島を訪れる際には、少し時間がかかっても往復ともにフェリーを利用しようと思う。あの船酔いにはもう懲り懲りだ…。

(左)高速船「クイーンざまみ」の外観 (右)高速船から撮影した阿嘉島

おわりに

今回の阿嘉島旅行は計画通りにいかなかった点も多々あったが、結果的に充実した時間を過ごすことができた。沖縄本島を旅するのも面白いが、少し足を伸ばして阿嘉島のような離島に行けば、そこでしか見られない景色や出会えない動植物が私たちを待っている。

オフシーズンの阿嘉島は観光客も少なく、海を眺めながらゆったりとした時間を過ごしたい方にはもってこいだ。猫好きの方にもおすすめである。私自身、またのんびりと落ち着いた時間を過ごしたい時に、この美しくのどかな島を再訪したい。