はじめに
日本の中にありながら普段は立ち入ることのない場所、在日米軍基地。そんな日本の中の異国のような場所が、特別に開放されるときがある。それは、イベントのときだ。
日本列島が異例の猛暑を経験していた6月。「7月2日にキャンプ座間で独立記念イベントがある」という情報をキャッチしたワンダー編集員の脇と小林は、ベールに包まれた在日米軍基地の中身を探るべく、神奈川県座間市にあるキャンプ座間を訪れた。
ということで今回は、2022年7月2日(土)にキャンプ座間で行われた米国独立記念祭の模様をお届けする。
ドキドキの入場
小田急線相武台前駅からバスに乗り、座間キャンプ前で下車。バスを降りて目に入ってきたのは大勢の人。敷地に入るまでの列がとても長く、歩道はずらずらと列になって歩く人で溢れていた。
18歳以上は写真付き身分証明書の提示が必須だった。学生証は高校生のみ可で、自分は免許証も持っていないため、パスポートを持って行った。パスポートを旅行時以外に携帯することはほとんどないため、入るまでどこかドキドキしていた。
意外にも身分証明書の確認はあっさり終わり、道を進むと、持ち物検査場が現れた。迷彩服を着た人たちが待ち構えていて、緊張する必要はないのにかなり緊張。中には金属探知機をあてられて検査されている人もいたみたい。しかし、これまた意外にも迷彩服の人に微笑まれながらあっさり通過でき、ついに入場!
ずらっと並ぶ屋台
入場してすこし道を進むと、人でごったがえしている道につながっていた。そこは「イシノマキ・アヴェニュー」という名前の通りだそう。2011年の東日本大震災の際、米軍は自衛隊と連携して被災者支援活動「トモダチ作戦」を行った。それを後世に伝えるために、座間キャンプ内の3つの道路がそれぞれ「トモダチ・アヴェニュー」、「センダイ・ストリート」、「イシノマキ・アヴェニュー」に改名された。
アメリカンなお店、日本的なお店など様々な食べ物を売る屋台がずらっと一列に並んでいた。各屋台には長い行列ができていて、大盛況。値段表示にUSドルと日本円が併記されているのは在日米軍基地ならではだなと感じた。
食べ物以外にも雑貨を売る店や「就職相談」と書かれたテントもあった。就職相談のブースには「日本の『アメリカ』で働きませんか」と書かれた横断幕が張られ、その横には「在日米軍従業員募集中」と書かれたのぼりが立っていた。
ディナータイム
ジャマイカ料理にそそられ列に並んだが、一向に列が進まない。時間をかけて提供しているのだからきっと美味しいのだろうと自分を納得させ、気長に待っていた。実際に屋台の隣で肉を焼いている煙がすごかった。ついに自分たちの注文の時間がやってきた。本当はジャークチキン&ジャマイカン豆ご飯(Jerk Chicken with Rice’n Peas)が食べたかったが、ご飯がなくなってしまったらしく、代わりにブラウンシチューチキン&マッシュドポテト(Brown Stew Chicken with Mashed Potatoes)を注文。ついでにフルーツジュース(グアバ、グレープフルーツ)も注文した。
私がジャマイカ料理に並んでいる間にかすみさんが買ってきてくれたのがファンネルケーキ(Funnel Cake)。ホットケーキの生地を油で揚げて粉砂糖を振りかけたようなものだが生地自体に甘さはなく、外はサクッと中はフワッとしていておいしかった。とても軽く、列に並んでいる間にペロリ。
ジャマイカ料理とジュースを持って向かったのは、芝生。広い芝生には、テントを持ってきている人や、子どもたちがたくさんいた。この時点で夜20時くらい。あたりは真っ暗で、芝生の緑と空の黒のコントラストが印象的。緑の上でディナータイムの始まり。ブラウンシチューチキンはお肉がほろほろで、シチューの味がしっかりしみこんでいてとても美味しかった。
ご飯を食べながら在日米軍軍楽隊(USARJ Band)の生演奏を鑑賞。演奏はステージで行われていたが、モニターに映像が映し出されていて、遠くに座っている人も見えるようになっていた。まるでライブのようだ。色々な曲をやっていて、アメリカの人が日本の曲、日本の人がアメリカの曲を歌ったりもしていた。「上を向いて歩こう」が聞こえてきたときはなんだか温かい気持ちになった。歌も演奏も、とっても上手だった。
とっても優しい自由の女神
芝生でご飯を食べていると、突然自由の女神が通りすぎた。写真をお願いすると、笑顔で快諾してくださった。肌に金色のキラキラしたものを塗っていた。とっても可愛くて優しかった。
クライマックスの花火
20時40分から20分間の花火ショーがこのイベントの目玉。突然後方で花火が打ち上げられ、慌てて後ろを向いた。いきなり始まった。色々な種類の花火、中にはアルファベットでUSAとなっている花火もあった。この時間は、花火大会に来ていたのか?と錯覚するくらい、贅沢な時間だった。
一日を終えて
自分が想像していたよりも人が多く、熱気に包まれたイベントだった。日本とは思えない空間で、不思議な体験をしたような気持ちになった。
(取材・脇りりか、小林かすみ、文・脇りりか、写真・小林かすみ)