大切な人と過ごすことに意味があるヨーロッパのクリスマスはほっこりとしていて本当にいいものだなと感じました。

前回の記事では、世界一美しい湖畔と呼ばれるハルシュタットと、その近くのバード・イシュルまでの珍道中をお届けしましたが、今回はオーストリア女子二人旅の後半戦、ザルツブルク編です。ここは映画『サウンド・オブ・ミュージック』のロケ地としても有名な街で、市内からはロケ地巡りバスも定期的に運行しています。実は私たちも、旅行に来る前に一緒に映画を見てばっちり予習をしていました。ふらりとどこかを訪れる旅行も楽しいですが、せっかく行くなら色々と調べて予習してから行くのもおすすめです。普段だったら見向きもしないような世界に触れられるいい機会になるかもしれません。

 

さて、バード・イシュルからバスで2時間、再びザルツブルクへと戻って来た3日目の夕方。中央駅のほぼ目の前にあるホテルにチェックインしてから、クリスマスマーケットへ向かうことにしました。ザルツブルク市内はたくさんの路面電車が走っていて、地元の方も通勤や通学に使っているようですが、正直観光地はほとんど全てザルブルク中央駅から徒歩30分圏内にあるので、私たちも徒歩であちこち回りました。まずたどり着いたのがミラベル広場のクリスマスマーケット。

ここは比較的小規模で、通路を挟んで左右に様々なお店が並んでいました。観光客向けというよりは地元の方がホットワインを片手に談笑している姿が目立ち、なんだかほっこりとした気分になりました。ちなみにこのホットワイン、お店によって違うデザインや形のマグカップが用意されており、注文するとそのマグカップに注いでくれます。料金にデポジット代が含まれているので、返却するとその分のお金が返ってくるシステムですが、気に入ったマグカップがあればそのまま持ち帰ることができます。私も珍しい形に惹かれもらってきちゃいました。

 

続いてドーム広場とレジデンツ広場のクリスマスマーケット。こちらは規模も大きくて、入り口にマップがあったり、分かりやすいようにお店に番号が振られていたりしてきちんと整備されているという印象でした。食べ物から装飾、小物などたくさんの種類のお店が広がっていて、とても賑わっていました。

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みんな楽しそうに友達と笑いあったり、家族とお買い物をしていたり、恋人と温もりを分け合ったり。幸せオーラがあふれており、自然とこちらも笑顔が増えました。ちょうど数日前にベルリンでクリスマスマーケットに大型トラックが突っ込むテロがあったこともあり、日頃当たり前に感じている幸せの大切さを実感しながら友達と満喫した時間を送りました。

 

4泊5日の旅と言っても、5日目は早朝に空港へ向かわなければならなかったため、実質観光最終日となる4日目。まずは前日クリスマスマーケットで訪れたミラベル広場があるミラベル宮殿へと向かいました。そこで痛感したのは「ヨーロッパで観光がしたいなら夏の方が断然いい」。花が綺麗に咲いていて、緑がたくさんの庭園を太陽の下ゆっくり歩いている…妄想で現実を補いながら、なんとも閑散とした庭園をとりあえずぐるっと一周してみました。ギリシャ神話の神々の彫刻が雪景色の中立っているのも力強い雰囲気がありましたが、やはりネットで画像を検索した時に出てくるような、暖かい季節の庭園がおすすめです。

この後向かったのがマカルト広場にあるモーツァルトの住居。そう、実はザルツブルクは『サウンド・オブ・ミュージック』の他に、モーツァルトが誕生した街としても有名なんです。ですが私たちがしたかったのはモーツァルトの住居見学ではなく、同じ建物内にあるカフェ『クラシック』へ行くこと。

地元の若者からおじさんまで幅広い世代に愛されているこちらのカフェ。ここの名物、モーツァルトトルテを食べるべく観光客の私たちも乗り込みました。ピスタチオとマジパンが層になっている、程よい甘さのチョコレートケーキ。1時間前に朝食をしっかり食べた後でしたがぺろっと完食してしまいました。ちなみにオーストリアは「カフェの天国」とも言われていて、いたるところにカフェがあります。入店後、ケーキなどの食べ物はカウンターで注文し、自分たちが座る席を指定します。席に着いたら飲み物のオーダーをウェイターさんが取りに来てくれて、その飲み物と一緒に最初注文したケーキが運ばれてくるシステムです。カフェ巡りが好きな方はぜひこれを参考にオーストリアのカフェでゆったりとした時間を過ごしてみてください。

 

どこの国でも「こんにちは」「ありがとう」、そして「お勘定をお願いします」は現地の言葉で言うのが自分の中での決まりの筆者。Zalen bitte (ツァーレン ビッテ)と言うとウェイターさんが微笑んでお勘定を持ってきてくれた『クラシック』を出て、次に向かったのは旧市街地です。ゲトライデ通りは名の知れたお店がたくさん並んでいますが、みんな昔ながらの雰囲気を邪魔しないようにといつものイメージとは違った看板や外観をしていてとてもおしゃれでした。

また、ゲトライデ通りから一本路地へ入るとこれまた違った世界が広がっていて、わかりにくい場所にあるけれど地元民に愛されているお店などにも出会えます。『バルカン・グリル』もそのうちの一つです。オーストリアで有名なボスナという、ホットドックにカレー粉などのスパイスや玉ねぎが入った食べ物の発祥のお店です。私もオーストリアに着いてからすでに3本ほど食べていましたが、お店ごとにスパイスの味が違っていて食べ飽きることがありませんでした。

突然かわいらしいクリマスマーケットが広がっていたり、新鮮な食材が買える市場があったり、何があるのかとうきうきしながら路地を覗くのも楽しかったです。

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観光はまだまだ続きます。次はホーエンシュタイン城へ。ケーブルカーで一気にお城まで登ると、広がるのはまさにドラ◯エの世界。城壁の中が小さな町のようになっているのがとにかくド◯クエっぽくて、横で寒そうに凍えている友達をよそにテンションが上がりました。実際お城の中も見学ができて、頂上までたどり着くとザルツブルクの街が一望できます。ずっと街を歩いてきていたので、上から見て「あれがミラベル宮殿だよ!」とかわかるのがすごく楽しかったです。

しかしあまりにも友達が辛そうに寒さに耐えているので、ホーエンシュタイン城の見学はテキパキと終わらせ次の目的地、『シャッツ』へ移動しケーキタイム。女子二人、美味しいと評判のケーキはあればある分だけもちろん食します。ここの名物はクレムシュニテ。パイ生地にカスタードクリームとバニラが挟んであるケーキです。オーストリアでよく飲まれているコーヒー、メランジェとともに味わいました。

前日は時間が遅くじっくりお店を見ることができなかったため、もう一度ドーム広場とレジデンツ広場のクリスマスマーケットへ行くことに。しかしいよいよ友達の様子がおかしい…明らかに普通ではなかったので早々にホテルへ引き上げると、まさかの高熱。

 

最後の最後でとんでも無いトラブル発生です。うなされる友達にせっせと冷たいタオルを渡し、とにかく飛行機に乗れる体温に下げるべく夜な夜な必死に看病です。おかげさまで市販の薬などに詳しくなったので、オーストリアで具合が悪くなった際はぜひ私にご連絡ください。

 

出発が1時間も遅れた飛行機に乗りなんとか二人揃ってイギリスに戻ってくることができ、最後までトラブルが絶えなかった4泊5日のオーストリア旅行もなんやかんや楽しく終えることができました。日本では「恋人がいないクリスマスなんて」という雰囲気になってしまっていますが、家族でも友達でも恋人でも、大切な人と過ごすことに意味があるヨーロッパのクリスマスは本当にほっこりとしていていいものだなと感じました。皆さんも、たとえ今から11ヶ月後に恋人がいなかったとしても、自暴自棄にならず、クリスマスの本当の意味を考えてみてはいかかでしょうか。

 

(文・写真 三村智世)