皆さんこんにちは!新ライターとして記事を書かせてもらいます、朝鮮語科2年、高橋と申します。
さて、記念すべき(?)第一回目の記事。少々緊張しつつ、何を書こうかと思った矢先、ピンッ!と来たものが一つございまして。
それは「落語」でございます。
皆さんは落語と聞くとどのようなイメージを思い浮かべますか?
「中高年の方の娯楽…」「よくわからない…」「笑点…?」などなど。少し疎遠な感じがするかと思います。
私の話を少しさせていただきますと、以前落語の世界を舞台にしたドラマをきっかけに落語に興味を持ったのですが、漠然と「興味はある。生で聞いてみたい。」という感じでした。しかもなんせ住んでいたのが地方なもので、寄席なんてありゃしません。生の落語を聞く機会もなく、月日は過ぎ、気づけば東京生活も丸二年が経とうとしていたこの春休み。
友達が次々と海外へ飛んでいく中、東京に残ってしまった私は考えました。この機会に東京でしかできないことは無いだろうか…。そして思いついたのが「そうだ。寄席に行こう!!」
ここで少し落語についてご紹介します。
落語の特徴は何といっても噺家が手ぬぐい一枚と扇子一本のみを持って高座に上がり、座布団の上で身振り手振りで何役も演じ分けるという点でしょう。噺家の技巧と聞き手の想像力によって目の前に落語の世界が広がります。そしてその演目数は古典落語から新作落語まで正確にはわからないほど多いとか。
落語のはじまりは遡ること室町時代末期から安土桃山時代。戦国大名のお傍に仕え、話し相手や世情をお伝えする「御伽衆」という方々がいました。その後江戸時代に入ると有料で噺を聞かせる人々が登場し、江戸だけでなく大阪、京都でも活躍する人が現れました。これが現在の寄席のはじまりとされています。
ではどこで落語が聞けるのでしょうか?東京という場所は非常に良い場所です。というのも気軽に立ち寄れる演芸場がいくつもあるのです。大きいところは新宿、浅草、池袋。 今回はその中でもJR新宿駅から徒歩10分、新宿3丁目駅から徒歩1分のところにあり、江戸以来の伝統を重んじ、寄席ならではの雰囲気を残している新宿末廣亭へ足を運びました!
昼の部が12時半~16時半頃、夜の部が17時~21時頃。そしてなんと12/30、31以外毎日やっているのです!昼と夜では噺家さんも演目も異なります。驚くのはその日やる演目。前もって決まっていることもありますが、普通は噺家さんが高座に上がって、その日の客席の顔触れや反応を見てその場で決めるというのです。しかもその日出演する他の噺家さんと被らないように。噺家さんも人間ですから得意不得意がある中、その場で演目を決めるのは至難の業でしょう。
チケットは当日券のみで全席自由なので座って聞きたい人はお早めに。席が埋まってしまうと、立ち見席というその名の通り、立って見ることになります。お値段は一般3500円、学生3000円。大学生のお財布には少し優しくないですかね…。
木戸と呼ばれる窓口でチケットを買い、扉を開けるとそこはもう寄席。目の前の舞台には一枚の座布団とマイクのみ。上には提灯がぶら下がり、ちょっと江戸時代にタイムスリップした気分になれるかも?あの独特な雰囲気は寄席ならではだと思います。しかし場内での撮影はご法度なのでお気をつけて。(なので写真もありません…残念。)
場合によっては開演前から前座と呼ばれる芸が行われていることがあります。また、中には売店があり、飲み物や食べもの、手ぬぐいなどのグッズも販売しています。中では飲食は自由ですが演目中はきっと笑って飲み食いはできないはず!前もって買っておいて、間の「仲入り」という休憩時間に食事は済ませておきましょう。仲入りの時間に大体皆さんお口をモグモグしながら次の演目は何かなとワクワクしておられました。
さあいよいよ開演!太鼓と三味線のお囃子が聞こえてきて…と。あれなんか若そうな噺家さん。はい、まずは二ツ目と呼ばれる若いお弟子さんが出演します。そんな最初から師匠が出てこられる訳ないですよね、師匠は最後のお楽しみです。
いくつか落語が続いた後は漫才や奇才といった漫才以外の芸が一つ入る構成になっています。
そして仲入りを挟んだ後再び落語がいくつか続き、さあ!!いわゆる「トリ」と呼ばれる主任の登場、かと思いきやその前に「ひざがわり」という芸人さんが三味線の演奏や奇術などを行います。そして!最後にお待ちかね、師匠が出演します。
この日私が聞いたのは「蛙茶番」「出来心」「野ざらし」という演目。実はもともと「野ざらし」ではなく、下にあるように「紺屋高尾」という演目の予定だったのですが、柳家花緑師匠が高座に上がって即興で演目を変えてくださいました!それぞれあらすじが気になった方は是非寄席でお聞きくださいね。
実際に生で落語を聞いて、印象的というか落語への見方が変わったことがありまして。
それは「お客さんと噺家さん両方が一緒になって落語、そして寄席というものは完成する」ということです。
噺家さんはもちろんお客さんに対して落語を話してくださいますが、お客さんもただ黙って聞くのではなく面白ければ声を出して笑って構いませんし、うまいなと思ったところでは拍手や声で「面白いよ!」「いいね!」という意思表示をします。よく会話は相手とのキャッチボールなどといいますが、まさに寄席は噺家さんとお客さんのキャッチボールがあってこそ成立する空間なのだと感じました。先ほど少しお話した演目についても然りです。お客さんが仏頂面で客席に座り、何の反応もしてくれなければ噺家さんは何の演目をすればよいかわからなくなっていしまいますよね。寄席という場所が空間的に狭いということもありますが舞台上の噺家さんと距離が近いと感じる点は歌舞伎やミュージカルなどの芸能とは少し違う点であり、寄席の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
いかがでしたか。つらつらと落語について語ってしまいましたが少しでもちょっと寄席行ってみようかなとか、落語に興味を持ってくれる方が居らっしゃいましたら幸いです。
なかなか寄席に行くことは勇気がいるかもしれません。なんだかんだ言ってやはりお客さんの年齢層は高めですし、寄席の建物に入ること自体も勇気がいりますよね。
でも中で話されている言葉はすべて日本語ですから話についていけないということは無いですし、なにもおしゃれしていく必要もありません。ある噺家さん曰く、落語は集中して聞くものではなく「ふらっと寄席に来て、頭を空にしてぼーっと聞け」ばいいそうです。
思い立ったが吉日! 興味を持ったらぜひ一度、落語を寄席で聞いてみては?
最後まで読んでいただきありがとうございました!
(文・高橋美紀)