イタリア人音楽家ロッシーニの故郷ペーザロへ行ってきた

イタリアといえば、どんな都市を思い浮かべますか。首都ローマ、水の都ヴェネツィア、食のナポリ、ファッションのミラノ、世界最古の大学のあるボローニャと言う人もいるかもしれません。しかし今回筆者が訪れたのは、恐らくほとんどの人が知らないであろう町、ペーザロ(Pesaro)です。

 

ペーザロは日本であまり知られていない地名ですが、『ウィリアム・テル』や『セビリアの理髪師』で有名な音楽家ロッシーニの生まれ故郷なのだそうです。ゆえに音楽祭の開催時には世界中からファンが集まるとか。筆者はペーザロのウルビーノ県にあるロッシーニの生家を訪れました。学生で賑わう街角にひっそりと佇むその家で幼き頃の音楽家が暮らしていたと考えると、感慨深いものがありました。

 

そもそもペーザロを訪れたのは、母の高校時代の友人Mさんが暮らしているためです。イタリア人の夫、ハーフの子供と共に暮らす彼女の家は果樹園。訪れたのはちょうど収穫の終わった時期でしたが、敷地内にはアプリコットやオリーブの木が何百本も生えており、周囲を歩くと戻ってくるのに40分かかる程の広さでした。滞在中はそこをふらふらと歩きまわり、もぎたてブドウを頬張る生活を楽しみました。ペーザロのスーパーマーケットにはウサギのお肉など見慣れない食品も置いてあり、興味深かったです。

 

ペーザロへ行くにはアンコーナ空港が最も近いのですが、イタリアへの気持ちが募りすぎてMさんの住む町を勘違いしており、ボローニャ空港から鉄道に数時間乗ることになるというハプニングがありました。しかし、いくら進んでも風景の変わらない広大な土地での飾らない雰囲気をじかに感じることができました。例えば、景色の見えないほど埃っぽくて開きづらい窓、蒸し暑い車内、お尻が見える程のショートパンツから伸びた太い脚を彼氏の肩に乗せる少女、つやつやの青リンゴを美味しそうに丸かじりするおじいさん、、、周囲乗客の一挙一動が新鮮に感じられ、むしろ空港を間違えてラッキーでした。

 

隣の家は600m先というくらい、ペーザロはのどかな田舎町です。ペーザロで車に乗っていると、「ロッシーニセンター」という看板が10分に一度は出てきます。音楽家の故郷だけあってやはり音楽学校がたくさんあるのか!と関心していました。しかしMさんに「じゃあ音楽を学ぶ留学生が多いんだね!」というと、「ん?あぁ、あれはスーパーマーケットだよ」とのこと。最も日常的な店に音楽家の名が付くなんて、音楽文化がどれだけ深く根付く国なのかと驚きました。

 

ペーザロはアドリア海に面したリゾート地としても有名です。美しい砂浜の海岸には世界中から人が集まります。また夜には地元の人々も繰り出し、屋台や散歩、ダンスクラブでの夜を楽しんでいました。

 

ペーザロから車で約1時間走ると、サンマリノ共和国に着きます。ここは人口3万人ちょっと、世界で5番目に面積の小さな国家だそうです。レアな切手やユーロコインでコレクターに人気のこの国は、標高700mで山の斜面に位置しています。多くの場合は入国審査のスタンプが押されますが、イタリアから入国の際は道なりにそのまま進入するのみです。関税がかからないため、宝石など少し安めに購入できるようで、半分以上は観光による収入だそうです。サンマリノ共和国の頂上には展望台がありますが、その清々しさにまるで高尾山頂にいるような錯覚を覚えました。ここを訪れれば、行った国の数を増やすこともできますよ( 笑 )

 

今回は、短期間の旅行で行く機会の少ない地域についてお話してきました。王道の観光地も素敵ですが、田舎を旅することで、その国の気取らない素の姿を感じられるような気がします。もし時間に余裕のある旅ならば、足をのばしてみるのも良いですね。

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