スペイン語科二年の夏原です。私が以前書いた「『平和』に向かうコロンビア」の続きとして、今回はコロンビアに暮らす一人の青年の言葉を伝えたいと思います。
彼はサントス大統領のノーベル平和賞受賞後、SNSに自分の言葉を上げました。
一部に省略や、真意を伝えるための意訳もありますが、彼の言葉をできるだけそのままに書きました。
”私はサントス大統領の政策のほとんどに賛成したことがない。
国民からの支持が極めて低く、リーダーの素質がない。しかしその一方で、彼が紛争を終わらせるために、根気よく武装手段の代替案を模索していることは事実である。
かつてFARCの運営する会社への砲撃を命じ、ゲリラに対抗していた大臣が、今では対話という手段で、平和を通してゲリラと向き合っていることは私にとって驚くべきことである。
今回のノーベル平和賞受賞は、この国が平和に向かうための確固たる支援であり、大半のコロンビア人が望む平和への招待である。武装という手段は二度ととるべきではない。
和平合意について、賛成に投票した人々も反対に投票した人々も互いを非難することをやめなければならない。
どちらに投票したかを気にするのではなく、農民たちのもつ大きな希望の下に結集するべきだ。ジャガイモや肉の生産者である彼らは、弾丸の攻撃を恐れることなく働きに出ることができるようになる。
望まない紛争によって、自分の命や愛する人々の命が失われるという恐怖で眠りに付けない夜はもう終わる。
平和は政治的行動でも署名でも記録でもなく、また大統領の地位を確立するものでもない。
平和は私たち一人ひとりにおいて始まり、考えの違いを尊重する小さな動きから始まる。さらに最も重要なこととして、平和は許しを通して始まる。
実際、今回の和平合意や国民投票の一連の流れは、この国にとって最も大事な一週間であった。”
サントス大統領のノーベル平和賞受賞から約2ヶ月が過ぎた昨年の11月30日、内戦を終結させる和平協定がコロンビア議会の下院で承認され、和平合意がついに成立しました。前回の和平案の内容を一部修正した上で、今回は国民投票ではなく上下両院に承認を預けたうえでの成立でした。
国民投票によって成立させることができなかった点は残念に思います。しかし決して国民を無視した決定ではなく、国民の意見を反映した決定であったと考えます。コロンビアの青年が訴えるように、少しずつ小さなことから許しを始めること、それが平和に向かう近道となります。
「危険な国」。コロンビアに対するこうしたイメージはもう古いものでしょう。「世界で最も大きく平和に向けて動いている国」として、これからのコロンビアの動向を見つめていきたいと思います。
(文・夏原実佑)