世界最大のセーリング大会兼ドイツ最大のお祭り、Kieler Woche(キール週間)について、現地留学中のライターが徹底レポート!

普段は穏やかなキールの港が、たくさんの人であふれる1週間があります。Kieler Woche(キール週間)です。総開催回数134回を数えるKieler Wocheは、今年は6月18日から26日の日程で行われました。今回の記事では、この、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州最大のお祭りについて、ご紹介したいと思います。

カモメ氏。人馴れしすぎてて逆に怖い。

 

まずは簡単なご紹介から。Kieler Wocheは、毎年6月の第3土曜日から第4日曜日にかけてキールで開催される、世界最大のセーリングイベントです。1882年に20台のヨットによるレースが行われて以来、世界大戦による休会を挟みながら今まで開催されてきました。例年約2000艘の船と5000人の競技者が集まり、すべての階級・船種の白熱したレースが行われます。また、船のレースだけでなく、屋台やステージ、移動遊園地、子供向けのアスレチックなど、街を挙げたお祭りでもあるのです。

期間中はキール市内のあちこちに16の野外ステージが建てられ、300前後のライブやコンサート、公演が行われています。その中でも特に印象的だったのが、Poetry Slam(詩の朗読)の大会。Jung Bühneという、若手のバンドがライブをしたりする小さなステージで開催されていたのですが、少し遅れて私が会場に着いた時にはすでに満員。お客さんのリアクションもとても積極的で、ドイツにSLAM文化が浸透していることを実感しました。また、今年はサッカーのヨーロッパ選手権と被ったこともあり、それらのステージでは連日ライブビューイングも行われていました。

市役所前の広場はInternational Marktに様変わりし、世界各国の雑貨や食べ物を売る屋台で埋め尽くされます。いろいろな国の料理を試してみましたが、おすすめはフィンランドのトナカイ料理。羊肉をさらにジューシーに、癖を強くしたような味のトナカイ肉は、甘酸っぱいベリーのソースと一緒にクレープで包むと絶品です。我らが東京外国語大学の学園祭で味わえる各専攻地域の料理とはまた違った、北欧やバルト三国の名物に舌鼓。

中央駅裏のKaistrasseや海沿いのKiellinieには、屋台が立ち並びます。こちらはInternational Marktとは違い、ごく一般的なドイツのお祭り、といった感じ。移動式の観覧車(ゴンドラに窓がはまっておらず、そのうえ高速回転。スリリング。) やフリーフォールなどといったアトラクションもあります。シルク・ドゥ・ソレイユのような衣装でエアリアル・ティシュー(高くつりさげた細長い布を使っておこなう曲芸のようなパフォーマンス)を披露する女性から小学生ヴァイオリンデュオまで、たくさんの路上パフォーマーもおり、Kiellinie沿いにふらふら散歩しているだけでもお祭り気分を味わえます。

会期限定の展望台。フリーフォールではない。

 

Kieler Wocheいちばんのハイライトは、最終日前日の土曜日に行われる、Windjammerparade。マストの4本ある巨大な船から、二人乗りの小さなヨットまで、期間中にキールに集まったあらゆる帆船が、キールフィヨルドからバルト海へ向けてパレードをし、その様子はさながらハンザ時代へタイムスリップしたよう。人々は海岸沿いの思い思いの場所で見物します。長くキールに在住されている方によると、Kieler Woche、とりわけWindjammerparadeはいつも天気が悪いらしく、今年も例にもれず大雨。私は入り江の市街地から少し外に出たところで観ていたのですが、雨が海を揺らし、ぼんやりかすんだ船が遠く行進して、まるで幽霊船のパレードのようでした…。

当日の様子。

比較用参考画像;wikipediaより。

 

長いようで短い1週間のお祭り、Kieler Woche。きっと私が見逃してしまった面白いイベントもたくさんあるはずです。次回は読んでくださったみなさんご自身で体験してみてはいかが?