ビールは世界のあちこちで作られている。古代中東の文明シュメールで麦作が盛んになり、ビールの作り方が記録され始めた頃からだんだん広げられてきた。
古代ローマ帝国期にはビールの代わりにワインの生産が現在のイタリアやスペイン、フランスなどの地中海国家でもワイン作りの伝統がまさに継承されてきた。逆にゲルマン族が住んでいた地域ではビール作りが増え、主なお酒となった。そのため、世界中で有名なビールの祭りはドイツのミュンヘンで毎年行われている「オクトーバーフェスト」である。
しかし、前に言ったように、ビールというと、ドイツの想像が浮かんでいるだろう。しかし、実は、ドイツの他にチェコなどの中央や東ヨーロッパでもビールは人気である。さらに、オクトーバーフェストと同じように、東南ヨーロッパの小さな陸内国でもビールのお祭りが盛大に行われている。
それは、セルビアの首都ベオグラードの「ベオグラード・ビール祭り」である。
ベオグラード・ビール祭りは2003年に初めて開催され、現在まで768万人の訪問者数を突破した。その祭りの公式サイトによると、50万人の観客が訪れているそうだ。毎年8月中旬にベオグラード西部にある「ノヴィ・ベオグラード」(新ベオグラードという意味)のウシュチェ公園に行われている。首都の中心部と違って、そこでは地形が主に平原であり、何度もコンサート場として使われていた。
ビール祭りでは、もちろんビールが中心である。ベオグラード・ビール祭りの公式サイトの「ビール祭りとは」という部分からの記述によれば、現在まで観客は330以上ビールのブランドのビールを飲むことができたそうだ。確かに、セルビアのビール醸造会社の大きな屋台店があり、外国のブランドもある。主なセルビアのビールは、イェレン(「鹿」の意味)やザイェチャルスコ(セルビア東部の都市ザイェチャルに由来する)である。他には、ドイツやチェコ、ベルギー、アイルランドなどの中欧や西欧の国々で作られたビール会社も参加している。最近人気になった「工芸ビール」(「クラフトビール」とも呼ばれている)も登場している。例えば、ベオグラードで生まれた小規模醸造所ブラック・タートル(「黒い亀」の意味)は毎年ビール祭りに参加しており、高い評価を受けている。
しかし、ビールはお酒でありながら、一緒に食べる食事が必要だと思う。ドイツのオクトーバーフェストと同様、セルビアのB級グルメの屋台店がいつもある。祭りに参加し、正門を入ると、ビールの鮮やかな香りだけではなく、焼肉の食欲をそそる香りが、人々の楽しさに包まれた空気に漂っている。新鮮な鶏肉や豚肉の串焼きは、皆の目の前で料理人によって作られており、値段も安い。残念ながら、すべての食事は多分脂っぽいが、肉の愛好家にとっては、ベオグラード・ビール祭りのグルメは焼肉の天国みたな出来事になるかもしれない。
好きなビールとグルメとともに、良い音楽があったら最高だ。もちろんベオグラード・ビール祭りは例外ではない。現在まで600以上の演奏が行われてきたそうだ。主にセルビアのロックやメタルの音楽家やバンドが出演している。例えば、2000年代後半にベオグラード出身のメタルバンド「モータル・コンバット」(Mortal Kombat)や、80年代、つまりユーゴスラビアの時に大人気となったバンド「リブリャ・チョルバ」(Riblja čorba)はよく出演し、高い評価を受けている。ポップ系音楽はあまりないと思うが、友達と一緒に参加してみれば、きっと楽しくなると思う。
友達と一緒に参加することといえば、もう一つの点を示したいと思う。それは、ベオグラード・ビール祭りの入場は全部無料だということだ。誰もが参加し、生ビールや新鮮な焼肉を楽しむことができる。(セルビアでは飲酒ができる年齢は18歳からだ)したがって、ビールと友達とともにセルビアのロック音楽を聴き、素晴らしい時を過ごせるだろう。中東のチグリス川とユーフラテス川の間に生まれた麦作から、ビールは歴史を駆け巡り、東南ヨーロッパの中心に位置されている国でビール祭りで栄華の極みを達したと言えよう。
引用文献:
http://www.belgradebeerfest.com/festival/o_festivalu