街を歩けばあちこちから聞きなじんだ曲が流れ、電飾で彩られる木々や建物。12月の東京は、クリスマス一色だ。
けれど日本でクリスマスムードを楽しむ人々の多くはクリスチャンでもないのに!なんて声も聞く。日本のクリスマスは宗教的というより、商業・娯楽要素が強めだというのは周知の事実かもしれない。
中東でクリスマスツリーが見られると言ったら、どうだろう。イスラーム教のイメージがどうしても先行するこの地域でも、クリスマスは楽しい行事みたいだ。
今回は中央・西アジアに昨年留学していた外大生が見たクリスマスをお届けする。
◆イラン
イランは無論、イスラーム教で統治されている国だ。そんなところでクリスマスなんて…
実は割と盛り上がっている地域もある。中部エスファハーンにはアルメニア系の人々や教会が集まる地区があり、この周辺にはクリスマスのツリーや飾りがたくさん。
かなり人が集まっている様子がうかがえる。ただしキリスト教徒のアルメニア人にとってクリスマスは12月25日ではなく、1月。あくまでここに集まるのはきらきらの地区で写真を撮り盛り上がる人々。西洋音楽が大音量で鳴りクラブのようだとも。
怪しげなサンタと人形たち。
サンタも何人かいるみたい。けっこう本格的…? ただ多くの飾りはクリスマス後もしばらくそのままだそう。
◆ウズベキスタン
さて、こちらもイスラム教国である中央アジアのウズベキスタン。街中で見かけるらしいツリーやサンタはクリスマスを祝うというより、新年の飾りのような存在らしい。
ブハラにはおしゃれなツリーとイルミネーションが。
ロシア文化の影響を強く受けるウズベキスタン。ロシア版サンタクロース、ジェドマロースとその孫娘スネグーラチカが登場することもしばしば。こちらも、年越し後までツリーが飾ってあるらしい。
◆レバノン
レバノンはモスクと教会が隣り合い、どちらの宗教も人口に多くの割合を占める。
クリスチャンが多く暮らす都市、ビブロスには地元民に人気の巨大なツリーが。
さてここからは変化球ツリーたち。
同じくビブロス。化石発掘でも有名なこの地域だが、化石のツリー。なるほど。
筆者のお気に入りツリーは“Beirut Beer”の空き瓶の集大成。レバノンが誇るビールブランドだが、なぜか地元民はベイルートビアはまずい、アルマザ(もう一つのレバノンブランド)を飲めという。どっちも大差ない、と思う。
ストリートチルドレンか、若すぎるデリバリーワーカーかという子どもたちが下の方の段の瓶の蓋を楽しそうに開けまくり、見せびらかしてきたことも。
こちらは革命ツリー。10月に始まった反政府デモの中心会場となった広場には、当たり前のように“革命”の文字を背負ったツリーが表れた。
◆ヨルダン
12月25日は祝日だというヨルダン。けれど雰囲気はクリスマスのお祝い、というより普通の休日らしい。
とはいえ、ちゃっかりおしゃれなツリーがあるのはアンマンのショッピング施設。けっこう人も集まって映えスポットに。
雑貨屋さんには折り鶴が飾られたツリー?が。日本のイメージというわけではないらしい。
さて、中央・西アジアのクリスマスはいかがだっただろうか。
キリスト教により宗教的に祝われる地域があるのはもちろんだが、そうではないけどとりあえず雰囲気を味わうというのはどこか日本で感じるノリのよう。
“クリスマス”の季節に素敵なツリーときらきらを飾り、家族や友人と集まって楽しむのは世界のどこでもありなのかもしれない。
〈協力・写真提供〉
瀧上真実、荒井みなみ、禿川亜未
(全員筆者のペルシア語専攻同期)
(文・大竹くるみ)