Malta is Wonderland—七色に輝く地中海の宝石箱—Part3

玲瓏たる「楽園」に散らばっているのは宝石たちだけではない

旅行の計画をする時ってとってもワクワクするよね。そして実際に現地にたどり着くともうそこは自分たちの日常生活からかけ離れたロマンいっぱいの「楽園」であるかのように感じるよね。島国なんかは特にメディアで「白い砂浜!青い空!光り輝く海とサンゴ礁!非日常の楽園はここにある!」みたいな感じで宣伝されることもしばしばで、実際それはあながち間違えでないことが多いと思う。確かに国内外にかかわらず、ある場所に赴き観光をするというのは痛快なことであるし、それはその土地の経済を回すことにもなるのでどんどん行っていくといいと思う。ただ、ただ赴いて、観光して、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見て、写真をとって、終わってみれば「あーあ、楽しかった!」という感想しか残らないのは大変勿体無いことであると思うんだ。「楽園」にも日常生活を営んでいる住人たちがいて、社会を形成しているということも忘れないでほしいな。

観光地を巡り、自分の一生の思い出を作ることはもちろん大いなる喜びであるよね。(だってその旅行のために頑張って働いて貯めたお金で行くんだもん当たり前だ!!)しかし、そこにはそこで生活している人たちの営みがあって、その国に付随する問題というのも必ずあると思う。例えば、社会問題という点に着目してみると、今回のテーマである小国マルタ1つ取り上げてみても「アフリカからの難民問題」「狭い国内市場による失業率の高さ」「観光客急増による地価の上昇」「政府の汚職」などなど挙げればきりがないほど存在する。

観光客としてある土地を「消費」する代わりに、その土地の文化や歴史を学んだり、その土地が包含する社会問題の一つにでも気づくことができれば今後の物の見方が少しでも変わるものだろうと思うし、それが観光から得られる最も大きな経験であり知見であると思うんだよね。そしてそれが何よりも(もしかしたら観光で経済を回すことよりかも)その国のためになることなのではないかと思うんだよね。というのも私の友人のマルタ人のうちの一人は言うだよ「確かに観光業が盛んになってマルタの財政も前より幾分かよくなった。だけど、みんなマルタという国をただの南国リゾートだとかテーマパークであるようにしか思っていないんだ。マルタっていうのは小さな島だけど、マルタ人たちが暮らしているちゃんとした国の一つなんだ。せっかく来てくれたならマルタ語の挨拶を少しでも覚えて帰ってほしいし、私たちの生活が難民や観光業の振興による地価上昇に苦しんでいることも知ってほしい。」って。長いが印象に残っているので今も心の中でその声を再生できるんだ。「楽園」の宝石箱の中身は必ずしもピカピカとした宝石だけじゃなくてことをわかってほしいな。

 

私はマルタが大好きなのでこの文章を読んでくれたみんなを一人余さずマルタの虜になってもらおうと、ひとまず今回は第一弾ということでマルタの存在をみんなに知らせることを目標として、フランクにマルタの魅力の3%くらいを語ってみました!少なくともこんな感じの国が存在してるってことはみんなの頭に植え付けることができたかな!?次の行き先がいきなりマルタにならなくても、ヨーロッパに行くついでに何日か寄ってみるかくらいにでも思ってくれたら嬉しいな。ぜひ様々な歴史と文化が混在する「不思議の国のマルタ」を訪れて、綺麗な草花に囲まれ、そよ風に頬を撫でられつつ、紺碧の地中海に沈みゆく真っ赤な太陽を眺めて、「はぁ…こんな素晴らしい国を訪れることができるなんて…。今日まで生きててよかったな!!」と思ってほしいな。皆様のお越しを心よりお待ちしております!

 

Grazzi ħafna!Saħħa!

(マルタ語で「とてもありがとう。さようなら。」の意)

 

ここまで拙文を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。皆様のマルタに関する知見を少しでも広げるお手伝いをさせていただけたなら体験嬉しく思います。

 

(文・坂部 航太)