マルタ料理に舌鼓を打て!
やはりある土地を訪れるに当たって外せないのは何と言ってもその土地の「食」だよね。食べ物は力の源、それが不味くちゃやってられないね。けど心配ご無用!何と言ってもマルタはかの美食国家として有名なイタリアのお隣さん。そのイタリア料理の影響を強く受けたマルタ料理が美味しくないわけ無いだろう?
パスタ、ピッツァ、リゾットはもちろん、地の利を生かした新鮮で美味しい魚料理、肉料理だとちょっと珍しいけどstuffat tal-fenek(ウサギの煮込み料理)があるよ。(味を例えるとするなら鶏肉みたいな感じかな)ん?ほとんどイタリア料理と一緒じゃないかって?……あっれー?おかしいな、耳が急に悪くなって何も聞こえないや()
アラブ文化が残っている例としては、中にデーツを包んで焼いたクッキー、Imqaret(イマレット)が挙げられるね。
また、私たちが日本のスーパーで見る食材の中でマルタから輸入されているものだってあるんだよ。なんだと思う?(ヒントは魚介類だよ!)
実はこれまた驚き、マグロなんだよね。近年マルタではマグロをはじめとする養殖が盛んになって来ていて(年間5000トン以上!も取引されているぞ)、日本向けに輸出されるマグロもそこで育てられているんだ。お寿司大好き国家の日本はなかなかいい値段でマグロを競り落とすので、少なからずこのマグロがマルタ経済に利潤をもたらしているんだ。
マルタ語の沼に溺れろ!
正直この章は書くかどうか迷ったんだけど、きっとこの記事を読んでいる人には言語に少しは興味ある人が多いかなと思って書くことにするね。(言語だってその国に関する立派な知識だ!)言語には興味ないよって人はぜひ飛ばしちゃって!
まずマルタ語というのはアラビア語のマグレブ方言の一つであるとされているよ。(ここは方言とするか、一つの言語とするかで論争が起きているからあまり触れないようにするね)ただ言えるのは、アラビア語にすごーく近いってことなんだ。そのマルタ語の最も大きな特徴っていうのはアフロ・アジア語族(セム・ハム語族)の中で唯一、ラテン系の文字を持つってことなんだよね。それにもかかわらず、アラビア語のあの複雑怪奇な正書法だったり語形変化だったりはちゃんと維持しているんだ。例えば三つの子音が基本になって変化していく「語根」といったシステム、またいわゆる太陽文字の前の定冠詞が同化するといったところだ。
それに加えてもう一つの特徴はイタリア語、特にシチリア方言(要するにロマンス系)から大量の借用語が流入しているいわゆるハイブリット言語であるというところだ。(ハイブリット言語というとフランス語の影響を強く受けたゲルマン語である英語だとか、アラビア語の影響を強く受けたペルシア語とかも思い出すね。)その割合としては約30-40%であると言われているよ!(残りはほとんどアラビア語由来)もうこの時点でマルタ語が超ウルトラスーパーエキサイティングな言語であることはわかったんじゃないかな!?!?
さらにさらに、特に文字が好きなそこのあなたに朗報!上のお札を見て見慣れない文字があって気づいた人もいるかもだけど、マルタ語にはマルタ語特有だったり、世界的に見てもレアな文字が何個か登場するんだ。それらも紹介していくね。
・Ġ/ġ …「ジュ」という発音。ちなみに点のないgは「グ」という発音。
・Ċ/ċ …「チュ」という発音。点のないcはマルタ語に存在しないんだ。
・Ħ/ħ …帯気音の「ハ」という発音。点のないhはイタリア語やスペイン語みたいに発音 しないんだ。
・Q/q …こちらは皆さん大好き声門閉鎖音!
・X/x…文字的には珍しくないけど読み方は「シュ」になるぞ。ポルトガル語みたいだ。
・Għ …読みません。はい。聞き間違えじゃないです。読みません。この組み合わせにな ると発音から消え失せるんです。じゃあ書かなきゃいいじゃんって思うよね? だけどそれじゃいけない意味が語源にあるんだよ。このGħっていうのはアラビ文字の「ع」に相当するんだ。要するに読まないけど表記することでその単語 の語源をちゃんと残しているということなんだ。
じゃあここで確認テスト。「Għawdex」どうやって発音すると思う?ちゃんと上のポイントを理解した人なら即答だね!答えは「アウデシュ」でした。ちなみに意味はマルタ第二の島であるゴゾ島のマルタ語での呼び方だよ。
どうだったかな?難しかったかもだけど少しは興味を持てたんじゃないかな。このような特有な文字は正書法にとって非常に重要な役割を担っていることがわかるね。
(文・坂部 航太)