この春休み、同じベトナム語科の友人Nと二泊三日の旅行へ行ってきました。行き先は、網走と知床。
「どこ行ったの?」「網走だよ!」「え、監獄??」というやりとりを今まで既に15回はしてきましたが、網走は監獄だけではありません。極寒の季節に日本の北の果てを目指した最大の目的は、流氷。海面を一杯に埋め尽くす巨大な氷の風景を写真で見て、幼い頃から憧れていたのです。
まず一日目、羽田空港から北海道東部にある女満別(めまんべつ)空港へ。前の週に私が台湾の往復で利用した飲食禁止の某LCCと比べると、JALのレベルの高さを感じます。この日はホテル到着後とくに予定も立てていなかったので、JR網走駅周辺の商店街を散策しました。平日の昼間にもかかわらず人通りがほとんど無い上シャッターの閉まった店が多く、雪のしっとり積もるなかで昭和っぽい歌謡曲が流れていたり、道先にクリオネの水槽が現れたりして、不思議な空間でした。途中ふらりと入った老舗ケーキ屋さんでは、店主の女性が私たちのためにわざわざイートインスペースを作ってくれ、夕食にお勧めのお店を教えてくれました。観光スポット巡りもいいですが、現地の人とのおしゃべりは心に残るものです。
そして二日目。砕氷船オーロラ号に乗って、いよいよ流氷を見られる、、!
胸をときめかせながら乗り場へ着くと
「本日、流氷が沖の方へ離れてしまったため観測できません」
との張り紙が。
これを見るためにはるばる東京から来たのにーー!とガックリ肩を落とす私たち。しかしすぐに気を取り直し、船内でエメラルドグリーンの「流氷ビール」(本物の流氷使用らしい)を片手に普通のオホーツク海クルージングを楽しみました。ちなみに砕氷船乗り場ではビールのほか流氷アイスや流氷カレーなど販売しており、どれも同じように濃いエメラルドグリーンをしていました。食欲失せる(笑)
氷の見えない砕氷船クルーズの後はオホーツク流氷館へ。数時間に一本のバスの関係上15分で全館を見学し、かの有名な網走監獄博物館へと向かいました。現在も網走刑務所は使用されているようですが、網走監獄博物館とはバス停で数駅離れています。博物館の勇ましい門を入ると、北海道を開拓した屯田兵の歴史館や監獄メニューを体験できる監獄食堂があります。
昔の囚人が使用していた藁布団も展示してあり、注意書きが無かったので実際に寝転がってみました。アルプスの少女ハイジの山小屋にあるのもこのような藁布団だったのでしょうか。少し硬すぎやしませんか。
三日目。早朝の森を散歩するつもりでしたが、前の日に流氷に出会えなかったのが諦めきれず急遽予定を変更、電車とバスで約2時間半かけて網走から知床へと向かいました。今日こそ見られますように、と念じながらオホーツク海沿いをバスで移動中、海にボコボコと浮かぶ巨大な白い塊が見えてきました。
ついに流氷です!
一面真っ白の雪岩に囲まれるとはいかないまでも、感動を覚えるには充分でした。来られて本当に良かった。
私たちのためにイートインを作り熱々の紅茶まで振舞ってくれたケーキ屋のおばさん、外大でアイヌ語を学ぶ友人Nに嬉しそうにNHKのアイヌ語テキストを譲ってくれた民芸品店のおじさん、待ち時間に意気投合し売り物のおむすびをタダでくれた駅の売店のおじさん、そして一緒に旅した友、、。
北の果てであるにもかかわらず、人のあたたかさ溢れる素敵な旅でした。