医者よりもタクシー運転手が稼げる国、キューバ

私は今年の夏休みにショートビジットでキューバに行った。そこは社会主義の経済体制を敷きアメリカと対立する、日本とは全く違う環境であった。そこで出会ったある一人のキューバ人青年、Marioとの思い出を書き残しておく。

Marioとは私がハバナ大学で出会った中国人留学生にキューバ人の女の子を紹介してもらった縁で巡り合うことができた。彼はキューバで法律を勉強している非常に頭のいい青年だった。基本キューバ人はスペイン語しか喋れないが、彼は英語をとても流暢に話した。スペイン語が得意でない私は彼の語学力に何度も救われた。彼は私に将来アメリカで働きたいと語った。しかしそのためにはキューバ政府から認可をもらう必要があり、あまりにも同じような希望者が多いため認可がなかなか下りずもう7年間待っていると言った。私は彼にアメリカで法律家を目指すのかと聞いたら、「便利屋だよ」と言って、悲しげに笑った。

「キューバで法律家として働くよりもアメリカで便利屋として働いた方が何倍もお金が稼げるんだ。今キューバで一番の高給取りはタクシー運転手だ。弁護士や医者じゃない。僕のお母さんは医者として働いているが給料は5000ペソ(約5000円)だ。」

英語が喋れてこんなに勉強熱心で真面目な学生がアメリカでブルーカラーの職に就こうとしている。その事実に私は国ガチャの存在を感じずにはいられなかった。もし彼がアメリカに生まれていたら希望通り法律家になれていたのだろうか。キューバに生まれたがゆえに自分のポテンシャルを発揮できないのであれば、国ガチャという名の不平等が生まれた時点で彼らに課されているのではないだろうかと、私は夢見るアメリカでの生活を語る彼の横顔を見ながら思った。

↑私にキューバの現状を色々教えてくれたMarioさん。私の手には彼が私の帰国直前にわざわざ駆けつけてプレゼントしてくれたキャンドルが握られている。¡Muchas gracias, Mario!

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国際社会学部・ウルドゥー語専攻 行ってみたい国:キューバ、タヒチ、アイルランド ひとこと:ジャガビーを常備すると幸福度が10上がります