見出し画像:TheMichiganDailyより引用


東京オリンピックで日本中が熱気に溢れる中、8月6日に事件は起きた。

成城学園前ー祖師ケ谷大蔵駅間を走行中の小田急線の車内で、男が刃物を振り回し、10名の乗客が怪我を負った。

その中には、自分と同年代である、20代の女子大学生もいて、背中や胸を何度も包丁で刺され、重傷を負った。

女子大学生を含め、全員命に別状は無かったのが唯一の救いだ。

とはいえ、怪我をした乗客だけでなく、同じ車内で事件に巻き込まれた乗客の多くにとって、

この日の出来事は、今後の人生に影響を与えるほどのトラウマになっただろう。

今はコロナ禍で、テレワークを導入する企業や、オンライン授業を実施する大学が増加したため、

ドアが開けばドバっと人が流れ出るような満員電車という状況は、以前より減少したかもしれない。

今回の悲劇は、さほど混雑していない電車で突然起きた。

もし朝の満員電車で、誰かが刃物を振り回したら、多くの人が避けたくても避けられない。

もし犯人がサラダ油ではなくガソリンをまき散らし、火を放てば、一瞬にして電車が火の海と化す。

その光景を想像しただけでも恐ろしい。

逮捕された後、犯人は様々な言い訳を残したが、この記事で注目したいのはこの発言だ。

”約6年前から幸せそうな女性を見ると殺したいと思うようになった。誰でもよかった”

ほとんどのメディアでは、「無差別」刺傷事件として取り上げられている。

確かに、男性も怪我を負っているし、”大量に人を殺したい”という犯人の言及もあった。

しかし、この発言も含め、初めから「絶対に女性を殺す」という強い意識を持った上で初めに女性を狙い、数十回刃物で切りつけ、「ここまで来たらもう皆やってしまえ」と、最後はやけになってサラダ油に火をつけ車内を燃やそうとしたように感じる。

最初に女性を刺した理由を聞かれると、犯人は”いわゆる勝ち組の女に見えた。”と供述した。

犯人は事件を起こす8時間ほど前に、都内の食料品店で万引きをし、その場にいた女性店員に通報された。

犯人は、”店員が女性で殺してやりたいという感情が芽生えた”と話した。その店員を殺害するため、凶器を取りに自宅に戻って再度飲食店を訪れたが、閉店していたため、電車で事件を起こしたと言う。

もし通報した店員が男性だったら、この事件は起きなかったのだろうか。

もちろん、この女性店員が取った行動は正しいし、この女性が責められる筋合いも無い。

小田急刺傷事件は、女性嫌悪を持った男性が引き起こし、確実に女性を狙った、

女性差別の刺傷事件として取り上げられるべきではないだろうか。

「無差別」というワードを使わず、そのように取り上げている記事は、現時点で見つかっていない。

今回の事件について調べる中、韓国で起きたある事件に共通するものを感じた。

2016年5月に、江南駅近くのトイレで、男性が22歳の女性を数十回にわたって凶器で刺し死亡させた、

「江南通り魔事件」だ。

男性は被害女性と面識はなく、”数日前に女性に吸い殻を投げつけられた”という理由で、

一人の女性の命を奪った。

殺人容疑で起訴された犯人が、裁判所で懲役30年を言い渡されたことも、波紋を呼んだ。

裁判所は犯人が、”女性を嫌悪したというよりも、男性を怖がる性格で、被害意識から相対的に弱者である女性を犯行の対象にした”と判断した結果である。

”死刑か、少なくとも無期懲役に値する”、”明らかに女性嫌悪による犯行だ”と、

ネット上で多くの非難の声が上がった。

不特定多数の女性を狙ったデジタル性犯罪事件である「N番部屋事件」も、

「女性は男性より下の立場」という意識が問題視され、以後女性差別を無くすための取り組みが、

韓国では積極的に行われている。

小田急刺傷事件の犯人に対する判決はどうなるのだろうか。

犯人は”大学のサークルや出会い系サイトで知り合った女性に馬鹿にされてきた。”と言及しているが、

自分を馬鹿にした特定の女性だけでなく、自分と何ら関係もない女性全員に対して憎悪を抱いた結果、

悲劇を生んでしまった。

単なる「非モテ」の恨みによる犯行として片づけるのではなく、

ジェンダーという視点から改めて事件を捉え直す必要があると感じる。

(文・安藤 真季)

引用・参考資料

JBpress 【「非モテ」による無差別刺傷、小田急線事件が示す分断社会の暗闇 女性を憎悪する「望まぬ禁欲者」の犯罪、日本でも増えそうな予感】青沼 陽一郎 2021/8/11 (最終アクセス日:2021/8/12)

朝日新聞デジタル 【電車での大量殺人、容疑者「以前から思い描いていた」】2021/8/8(最終アクセス日:2021/8/12)

朝鮮日報【도쿄 전동차서 무차별 칼 부림 10명 부상…(東京 電車で無差別刺傷 10名負傷)「행복한 야성 죽이고 싶었다」(幸せそうな女性を殺したかった)】2021/8/7(最終アクセス日:2021/8/13)

【公式】日テレ NEWS「【事件】小田急刺傷 事件前“女性が通報”引き金か」2021/8/11(最終アクセス日:2021/8/13)

Yahoo Japan ニュース 【「女性に吸い殻を投げつけられたから」判決が下るも議論尽きぬ “江南通り魔事件”の闇】慎武宏 2017/4/24(最終アクセス日:2021/8/13)

한국일보【강남역 살인사건 5주기 “우리 사화는 여성에게 안전해졌나” (江南駅殺人事件から5年”我々の社会は女性にとって安全になったのか”) 】2021/5/17(最終アクセス日:2021/8/13)