旅の始まりとは、いったいいつのことをいうのだろうかー4・5月月替わりエッセイ第一弾

 

旅の始まりとは、いったい何時のことを言うのだろうか。

 

世界一周に向けて、

神奈川県、秦野中井インターからヒッチハイクを始めた瞬間。

成田空港から、次の目的地へと飛行機が飛び立った瞬間。

 

それとも・・・

 

 

昔から英語がやけに好きであった私は、何の迷いもなく、東京外国語大学の英語専攻を目指した。

無事に合格した私の世界は、英語圏に埋め尽くされていた。

行きたい場所といえば、カナダ、オーストラリア、アメリカ。

 

アフリカにも興味はあったけれど、それはずっと遠い世界のようで、

自分が何かをする場所ではないような気がしていた。

 

大学に入学したら、とりあえず英語を頑張って勉強して英語圏に留学しよう。と思っていた。

 

 

大学の授業が始まってしばらくたった頃

 

2限の授業を終えて、学食へと足を運んでいた最中、

入学当初に出会った友人が、大声で呼びかけてきた。

「ミンガラーバー」

 

ビルマ語を専攻していた彼は、

この習いたてのミャンマーの挨拶を、

言葉が使える喜びを会得したての子どものように、

さも楽しそうに私に投げかけてきた。

 

その瞬間

ミャンマーという国では、誰もが日常の中で交わすこの言葉を

「何も知らない」という事実に、私は心から嬉しくなってしまった。

 

 

27の言語を学ぶ友人が集まるこの大学には、

そんな「知らない」が溢れていた。

 

3年生の春

「最寄り」の駅から大学へ向かう一本道で

大好きな音楽を聴きながら、一つの決心をした。

 

英語圏への留学をあきらめ、

知らなかった世界を、自分の目で見て知るために

世界一周の旅に出ることに決めた。

 

 

 

「旅の始まり」は、日常のそこここに宿る。

 

ある晴れた日の昼下がりのキャンパスで。

聞きなれた音楽の、聞きなれた一説の中に。

ふと見上げた、都会の星の輝きに。

 

 

日常の中に当たり前のように潜んでいた

「未だ知らぬもの」に出会った瞬間、新たな旅が始まる。

 

 

あなたの「旅の始まり」は、

あなたの日常のどこに、その大きな身体を隠しているだろうか。

 

 

About 関谷昴 2 Articles
英語専攻7回生4年生。多磨のシェアハウス「たまりば!」をやってる人。日常至上主義。チャロとブルーハーツと言葉とストリートフードが好き。訪れた国:42か国なう